みなさんこんにちは!Senoo IT Consultingの妹尾です。
久しくアップデートをしておりませんでしたが、ChatGPTが発表されてから1年4ヶ月、GPT-4が発表されてからも1年が経過し、当初のお祭り状態ではなく、落ち着いて活用を考えていく段階に入ってきているのではないかと思います。
そこで、今回は企業内部でChatGPTを活用していこうとした場合に、どのような方法があるかについて紹介していきたいと思います。
社内利用の方法を検討するにあたり、まずは以下のようなポイントを整理した上で、最も適した方法を選択することが重要です。
利用目的
主にどのような用途で利用するか?
利用ユーザ数・利用頻度・利用量
どの程度のユーザ(社員)数が、どの程度の頻度で、どのくらいの量(文量など)を利用するか?
予算
どの程度の費用を充てることができるか?
セキュリティ条件
自社のセキュリティ規定では、クラウドサービスのLLM(大規模言語モデル)を利用可能か?社内システムやドキュメントをクラウドサービスのLLMに利用させることが許容できるか?
セキュリティ規定により外部クラウドサービスのLLMの利用や、そのLLMへの社内データなどの投入が禁止されている場合、全てを社内システムとして構築することが必要となります。
その場合は、残念ながらChatGPTを利用できず、オープンソースで公開されているLLMや、自社専用システムとして導入可能なLLMを社内ITインフラ上に構築して利用することになります。
こちらについてはChatGPTの利用というテーマから離れるため、詳細は割愛します。
最も簡単・リーズナブルにChatGPTを利用できるのがこの方法です。
通常のGPT-4、GPT-3.5 TurboといったLLMの利用に加え、Bing検索やDALL·E 3による画像生成、Code Interpreterによるコード作成やデータ処理をGPT-4から利用することができます。さらに「GPTs」というChatGPTのカスタマイズ機能により、業務特化型ChatGPTの自作したり、世界中のユーザが作成した便利なChatGPTを利用したりすることができます。GPTsでは、外部APIを利用したシステム連携も可能です。
セキュリティ上の注意点としては、標準状態ではユーザの入力データはLLMのトレーニングや改善に利用される可能性があり、履歴を残さない設定で利用するか、OpenAIに入力データを利用しないように申請を行う必要があります。
利用料金はUS$20/月・ユーザで、ユーザ毎にカード決済で支払う必要があります。
なお、マイクロソフトからもCopilot Proというプランで類似の機能を提供するサービスを提供しています。
利用量、頻度が少ない場合は、このプランでこと足りるかもしれません。
ChatGPT Plusが個人単位での購入だったのに対し、名前の通り2名以上のチームで利用するためのもので、ChatGPT Plusに比べ、GPT-4の性能の強化と、自作したGPTsをチーム内で共有することが可能になっています。また、購入ユーザ数の範囲で、利用ユーザアカウントの入れ替えが可能です。
セキュリティ面では、ビジネス利用を前提としたプランであるだけに、ユーザの入力データのLLMのトレーニングや改善への利用は行わないことが謳われています。
利用料金はUS$30/月・ユーザで、年払いの場合はUS$25/月・ユーザとなります。
複数のユーザが定常的にChatGPTを利用する必要がある場合は、こちらのプランを検討した方が良いでしょう。
Microsoft 365の機能、つまりWord, Excel, PowerPoint, OutlookなどでChatGPTを活用した業務効率化を行いたい場合はこちらがおすすめです。Microsoft 365に組み込まれているため、直接WordやExcel上のデータを直接操作することが可能です。
セキュリティ面では、Microsoft 365に準じたセキュリティ設定が適用されるとのことですので、Microsoft 365を安全に運用している組織には適しているでしょう。
利用はMicrosoft 365 Business Standard以上を利用しているユーザが対象で、2024年4月1日時点でUS$30/月・ユーザ(日本では4497円/ユーザ・税抜き)となっています。Microsoft 365の料金とは別に必要となる点にご注意ください。
なお、Copilot for Microsoft 365の繁体字中国語の正式サポートは2024年前半予定となっています。
自社のHPやシステムにチャットボット機能を追加したい、顧客のメールや入力データを分析して処理したいといった要件がある場合は、OpenAIのAPI(またはマイクロソフトのAzure OpenAI ServiceのAPI)を利用してGPT-4などのLLMを利用したシステムを構築することができます。
これにより、文章をGPT-4などで要約したり、データを抽出して自社システムに連携したり、逆に自社システムのデータをもとにユーザに説明したりといった機能や、チャットインタフェースを用いて自社専用のChatGPTを構築することが可能です。また、APIで利用するメリットとして、まだChatGPTに搭載されていない、GPT-4より新しく性能も高いGPT-4 Turboといったモデルを利用することも可能です。
セキュリティ面では、API経由ではユーザの入力データのLLMのトレーニングや改善への利用は行わないことが謳われています。自社システムへ連携する場合も、自社開発したアプリケーションから行うため、OpenAIのサービスを利用するものの中で最もセキュアなものを実現できます。
API利用料金は従量制で、上記のGPT-4 Turboの場合は入力100万トークンあたりUS$10、出力100万トークンあたりUS$30で、クレジットカードによる支払いが標準です。
なお、トークンはLLMが文章を処理する基本単位で、文字の種類とトークン数は概ね下表の通りとなります。
文字の種類 | 1文字のトークン数 |
---|---|
英語 | 1単語 ≒ 1トークン |
ひらがな | 1文字≒1~2トークン |
漢字 | 1文字≒1~3トークン |
アプリケーションの開発、運用が必要となるため敷居は決して低くはありませんが、セキュアに自社システムと連携して処理を行いたい場合は、こちらの方法の検討をお勧めします。
以上、長くなりましたがいかがでしたでしょうか。皆様のご検討の参考になれば幸いです。
また、当社では「BetterChatGPT」というオープンソースをカスタマイズして、社内ユーザがOpenAIのAPI経由でチャット機能特化の「シンプルなChatGPT」を実現する仕組みを構築しております。低コストでLLMを利用をご検討の場合はお問い合わせください。
ChatGPTの活用やITに関するご相談は当社までお問い合わせください。折り返しご連絡差し上げます。