日本本社との打ち合わせが終わると、次は議事メモの整理です。日本語のメモと繁体字のメモを読み合わせても、「これは決定だったか」「台湾側で誰が動くのか」「期限はいつか」がすぐには揃わないことがあります。AIにまとめてもらうとしても、曖昧な話がいつの間にか決定事項になったり、担当や期限が補われたりしては困ります。
そこで、まずは会議メモを「決定事項」「未決事項」「次の宿題」に分けるところだけを頼みます。翻訳やメール送信まで一度に任せず、整理した内容を人が確かめてから次へ進む。このくらいの小さな区切りが、試し始めるときには扱いやすいと考えます。
「まとめる」の中身をそろえる
「会議をまとめて」では、要約なのか、担当の割り振りなのか、関係者への連絡までなのかが分かりません。先に出力の形を決めておくと、結果を確認しやすくなります。
- 決定事項: 会議で合意したこと。何を根拠にしたか分かるよう、元メモの箇所も示す
- 未決事項: 決まっていないことと、判断するために必要な確認
- 次の宿題: 作業内容、担当部署や役割、期限。会議で決まっていない項目は「要確認」とする
日本語と繁体字で表現が少し違うときや、発言が提案なのか合意なのか分かりにくいときは、無理に一つの意味へ寄せないよう頼みます。はっきり決まったと言えないものは未決に残す。それだけでも、後から「そんな約束はしていない」という行き違いを減らす助けになります。
メモを渡す前に、含める情報を見直す
整理に必要なのは、議題と決定に関係する発言、宿題の担当や期限などです。会議メモに顧客名、個人の連絡先、人事評価、契約金額が混じっているなら、そのまま入力してよいかを社内ルールに照らして考えます。名前を伏せても、部署や案件の説明から元の相手が分かる場合があります。
まず架空のメモで、依頼文と出力の形が使いやすいかを試す方法もあります。実際の社内情報が必要になったら、誰の承認を得るか、その情報がどのサービスへ送られ、どのように保存されるかを社内の情報管理担当者に確認してからにしましょう。画面に「社内用」と書かれているだけでは、送信先や保存条件までは分かりません。
ファイルやメールにつなぐなら、接続先も確認する
会議メモをチャット欄に貼り付ける使い方と、ファイル・メール・社内システムに接続して読み書きや送信を行うAIエージェントでは、任せられる操作の範囲が違います。接続を予定しているなら、どのアカウントを使い、どのフォルダーやサービスを読めるのか、書き込みや送信もできるのかを、社内のIT担当者と一緒に確認します。人の普段のアカウントをそのまま使うのではなく、必要な範囲だけにできるか、読み取り専用で試せるかも相談したい点です。
台湾の資通安全署は、OpenClawの導入を扱った2026年3月25日の発表で、AIエージェントの隔離環境、外部アカウントの権限を絞ること、高リスク操作に人の確認を入れることなどを勧めています。1 社内のファイルやメールにつなぐ予定なら、使い始める前に社内のIT担当者と、接続先・操作の範囲を一緒に確かめておきたいところです。
利用するサービスや社内の構成によって、情報の送信先や保存方法は変わります。パソコン内のファイルを使うから外部へ送られない、とは言い切れません。実際の構成を把握している社内のIT担当者に聞いてから、扱う情報を決めてください。
配る前に、会議の内容を知る人が確かめる
AIが出した整理結果は、そのまま配布する議事録ではなく確認用の下書きです。会議に参加した人が元メモと見比べ、合意していない案が決定事項に入っていないか、担当や期限を勝手に補っていないかを確かめます。日本語と繁体字の間で条件や責任の意味が変わっていないか、共有先に見せてはならない情報が含まれていないかも見ておきましょう。
直した内容を決定事項として共有するのは、社内の責任者が確認してからです。メール送信やシステム登録ができる環境でも、最初は「整理」と「実行」を分けておく。誰が最後に確認するかが決まっていれば、AIの作業をどこで止めるかも分かりやすくなります。
依頼文は、会議に合わせて書き換える
社内で利用が認められた情報を使う前提で、たとえば次のように頼めます。
添付した会議メモだけを使い、「決定事項」「未決事項」「次の宿題」に分けて整理してください。合意、担当者、期限が読み取れないものは推測せず「要確認」としてください。顧客名や個人名は出力に含めず、元のメモにない決定や予定を追加しないでください。各項目の根拠となるメモの箇所も添えてください。メール送信やシステム更新はせず、最後に会議参加者が確認する点を挙げてください。
この依頼文で入力情報やアクセス権まで決まるわけではありません。入力する情報は社内の情報管理担当者に、ファイルやサービスとの接続範囲は社内のIT担当者に相談し、出力は共有する前に会議の内容を知る人が確認します。
社内でAI利用のルールを考えるときは、IPAのサイトに掲載された中核人材育成プログラムの卒業プロジェクト成果物も参考になります。その一つの手引書では、全社のAIガバナンス、導入から運用・廃棄までの管理、業務や情報に応じたリスク評価を取り上げています。2
会議後の整理をAIに頼むときも、「何が決まったか」を決めるのは会議にいた人です。AIには下書きを頼み、その先は人が確かめる。まずはその分け方を社内で話してみてください。
出典と確認日
- [1] 台湾資通安全署「小心AI代理變資安破口 資安署提醒導入OpenClaw應落實五項資安防護」。発稿日・掲載更新日 2026年3月25日。2026年10月28日確認。OpenClaw導入を扱うAIエージェントの注意喚起です。
- [2] IPA「セキュリティ担当者のための生成AIセキュリティ」。公開・最終更新日 2026年7月31日。2026年10月28日確認。中核人材育成プログラム卒業プロジェクトの成果物を紹介する掲載ページ。手引書の構成説明を参照しました。